受話器を置いた音が聞こえて

5

「……ああ。あの曲だよな」

　お決まりの最終曲のタイトルをひらがなで入力する。
　人差し指でタッチパネルに触れて、一文字入力するたびに曲の候補が絞られていく。

　本当に楽しい一日だったんだ。

　だから、最後まで楽しく終わりたい。
　このまま帰って楽しい気持ちのまま眠りに就きたい。

「忘れるわけねーじゃん」

　オレたちは親友。
　たとえこれから何年会わなくたって、一度会えばすぐに元に戻ることができる。

　……じゃあさ、それなら。

　別に今、告白しなくてもいいんじゃないか？

　オレは最終曲の転送ボタンへ指を動かす。