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――――カチャリ。
不意に、音が聞こえた。
オレはパネルに触れようとした指を止める。
間違いない。間違いなかった。
それはあの日と同じ音。
もう二度と戻らない落としものをした、あの日の音。
『フリータイムが、終わるよ?』
……あーあ。何やってんだオレ。
別に今じゃなくても? 楽しいまま眠りたい? また次が来ると思ってる?
何回間違えれば気が済むんだよ。
思い出せ。逃げることしかできなかったあの日のことを。
思い出せ。空を眺めるしかできなかった今日までの自分を。
これで良かった、なんてさ。
一度でも思ったことあったか?
オレは持っていたリモコンをゆっくりとテーブルに置く。
そして、彼女を見た。
……行け。
もう知ってんだろ。
今行かなきゃダメなんだよ!!
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