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   ――意味は、わかった。  告白するなら今だ。そう思った。 「え、と」    わかっていた、のに。  それでもオレは言えなかった。   「……最後にあの曲入れよーぜ」  そう言った瞬間、少し後悔した。  そして、それ以上に安堵した。  今、言わなくてもいい。頑張らなくていい。これでいいんだ。  大丈夫。まだ時間はある。まだ何度でもチャンスはある。大丈夫。 「……そうだね」    梨歌は呟いて、お決まりの最終曲を入れる。  スピーカーから聞き慣れたメロディが流れだす。  そして、それに混じって。    ――カチャリ、と。  何かを落とした音がした。  それからもオレと梨歌はいつもと変わらず楽しく遊んで。  卒業後、顔を合わせることはなかった。  
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