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エピローグ
誰もいない夜空の中に浮かんでいる時は複雑な心境になる。胎盤の中のようで安心する気持ちもどこかにはあるが、敵が見えない不安に押し潰されそうでもある。
さあ、来いよ。そんな想いもあるから、笑ってしまう。
空は逃げ回る為の広場でもあるし、隠れ場所のない袋小路でもある。
敵になるか味方になるか、決めるのは、自分だ。全ては、自分次第。複雑な地上より、ずっとわかりやすい。
なぜ空を飛ぶのかは、自分でもよくわかっていない。飛びたいのか飛びたくないのか、一番見つけることが難しいのは夜空の敵機よりも自分が望むものの在処だ。
これからどこへ飛ぶのだろう。他人事のように考える自分がいる。
いつ死ぬのかもわからない。なるべく死なないように努めているが、死にたくないわけではない。むしろ、全ての繋がりが、それを柵と感じてしまっている自分が消えれば、いつでも簡単に地上から飛び立ってしまうだろう。
繋がりだけが、俺を地上に立たせている。
身体は地上にあっても、心は夜空を自由に飛び回る。
身体の自由を奪われても、心は、自由だ。どこへでも、どこまでも、飛んでいってしまう。
どこへでも。
どこまでも。
飛べ。
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