気怠い夕方

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「私は固定した人物への肩入れなどはしない」  話は終わったかのようにウィルモットはフランクフルトを食べることを再開した。一体一口で何回噛んでいるんだと思うほど食べるのが遅い。 「違う、違うんだよ。対戦相手は今知ったし、そういうんじゃねぇんだ。うまく言えねぇが、とにかく、あいつのことを知りたいんだ。操縦の癖とかそんなんじゃなくて、なんだ、その、過去とか、そう、あいつがどういう人間なのかってことを。あんたはよく知ってるだろ? 1番長くあいつといる」  フランクフルトを食べながらウィルモットは首を傾げた。 「変わってるな、君は」 「よく言われる」 「彼自身のことを知りたいというのは君が初めてだ」 「だろうな」  フゥルにしては珍しく気長に彼がフランクフルトを食べ終えるのを待った。半分食べ終えるのに15分ほどかかった。
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