何ら変わらない昼

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 死と隣り合わせのファイトを続けることで、ディプレッション(鬱)になるパイロットは多い。ディプレッションのパイロットがファイト中抵抗を一切せず撃たれ続けて最下位になり、最後に処刑となったのをフゥルは見たことがあった。  自ら死を選ぶ気持ちをフゥルは一切理解ができなかったが、死にたいなら殺してやろうというのが彼の優しさだった。  フゥルの目標はトップエースになること。その為にアンフィスを倒さなければならない。そのアンフィスが死にたいなら何て好都合なんだ。そんなフゥルの直線的思考が今朝の喧嘩に繋がった。  苛々を解消できないままフゥルは街へ繰り出した。ファイトのない日曜日から金曜日は、パイロットに行動自由が与えられている。  女を抱くか、ギャンブルでもするか。雑多な街中を歩きながら考えていると、前方遠くにアンフィスの姿を見つけた。歩いて行く方向からして訓練場に向かっている。  天下のトップエースに訓練でもつけてもらうか。フゥルはむしろ撃墜してやるという気持ちで彼の後を追った。  予想通りアンフィスは訓練場に入っていった。フゥルはそのすぐ後ろにつける。  訓練場はゲームセンターのような容貌をしていて、戦闘機を扱えるわけではない。リトル・ドラゴンのコクピットを模した操縦席に座り、専用ゴーグルを付けてVR内で対戦したり、訓練することができるのだ。真面目なパイロットはここでよく訓練をする。 「よぉ、先輩。俺と対戦してくださいよ」
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