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当時はインターネットなんてなかったから、色っぽい女子教師や人妻、女子大生がブラウン管の中で乱暴に犯されるシーンが最大の刺激だったりもした。
でも、たまたま親と一緒にそんなドラマや映画を見ていた時なんかは、たいていどこの家庭も気まずい沈黙がつづいた。親がチャンネルを変えだしたり、トイレに立ったりした。僕たちの世代は、誰しもそんな経験を持ってる。
まあ、それはさておき、谷口が授業中、向こうの席から僕に視線を合わせて、口の動きで何かを伝えてきた。
何を言っているのかと思ったら、授業が始まる前に「なあ、谷口、お前『ヤマト完結編』見た? 雪と古代が正常位でエッチするんだぜ。すごいぜ。だからビデオ買ってもらっちゃった」と言ったんだ。谷口は『宇宙戦艦ヤマト』自体を見ていなかったみたいで、雪にも古代にもピンときていない様子だった。「突然裸になって、『いや~ん、古代さ~ん、赤ちゃんができちゃう!』なんて言いながら抱き合うんだぜ」まあ、僕がそういうようなことを大げさに語ったわけだが、実際には、雪と古代が裸で抱き合うシーンなんて、ほんの数秒くらいで大したことはない。それでも、中1の僕にとってはすごくそそられたのは事実だ。谷口が向こうの席から、「大野、頼む、見せて」と必死にお願いしてきたので、その日の放課後に見せてやった記憶がある。
また、『TOKYOナンパストリート』というゲームを、谷口が川崎と一緒に僕の家にやりに来たことがあった。あいつらは、本気でパソコンの中の女の子に声をかけて、どうやったら落とせるか真剣に考えてたんだよな。でも、今振り返ると、そんなことをしてる暇があったら、1年F組の可愛い子たちにアプローチしてればよかったのに、って思うんだ。客観的に見ても、かなり魅力的な子たちばかりだったし。でも、あいつらはそういうのに全然気づいてなかったんだ。ホントバカだからさ。いや、まてよ。あれ?俺もか?
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