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「君、一寸いいかな?」
いきなり、はっきりした声が降って来た。
「大丈夫?立てる?」
懐中電灯が眩しい。
警察官が二人。俺を覗き込んでいた。
「このバイクは君の?」
「あ、はい…」
振り向いた所に、冠木門はもう消え失せていた。
免許証の提示。何をしていたのか尋ねられる。職質。
「pandora」の名刺を出して、月の写真撮影をしていたという話をしている間に、怪しい者ではないらしい確認が取れたのか、夏の間、坂を走りに来たり、城址にたむろする連中やらが居るので、パトロールしているのだと言った。
この先は行き止まりだから、気をつけて帰るようにと見送られて、坂を下った。
在ったはずの門の近くにバイクを停めたのは、初日と同じ。
そして、既に日をまたいで城址内をぐるぐる歩き回っていたのも同じだった。
頭の中がゆらゆらしている。
花は…未だ…
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