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「コウさん…」
「何?」
「いや…」
「あんな山城にいつまでも通ってると取り憑かれるよ。って、既に憑いてるかもね。狐とか」
「狐?何言ってんですか。あ、狐っていえば、諏訪神社の祠に小さな狐が居ました」
「狐?稲荷神社の?」
「ん…随分昔に川底から見つかったらしくて、民俗資料倉庫から出て来たって」
「それ、諏訪神社でいいもの?」
「さぁ?大人しく座ってたけど」
コウさんは「大人しくねぇ」と笑いながら、俺のカメラをスクロールしている、
ガラス玉を咥えた小さな狐。
身体には僅かに白さが残っていたが、揃えた両脚は損傷が激しく、板があてがわれていた。
「可哀想に…なんで川…対の方は流されたの?」
「対?」
「対だろ?狐はどうだったか…二体か、四体か…。それにしても無駄に撮ってるな」
「悪かったですね」
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