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「そうだ。コウさん、新春号は御朱印にしませんか?」
「御朱印?」
俺は、枕にしていたバッグから一昨日貰った御朱印を差し出した。
「このキラキラ御朱印頂くのに並ぶらしいですよ」
「へぇ…で?何?今度の彼女は御朱印女子?」
「や、違う違う。職場。今、御城印巡りもやっぱり女子で、恐るべし女子の経済効果というか」
「自由なんだろうな。女性は」
「あれ、まるで不自由みたいじゃないですか」
「自由なようで、実はそうでもない」
コウさんはカメラに目を落としたまま他人事のように応える。
フリーペーパー発行だけで、大した儲けにもなりそうもない。金蔓か錬金術があるのか、金にも時間にも不自由はしてなさそうだ。しいて言えば、女か?
「何?僕が不自由じゃ不満?」
「いやぁ…そんなことはございません」
「だろ。ってことで本日は閉店。これから一寸人に会う」
「コウさん、明日は空いてます?」
「大体。時間は?」
「出来れば、早い午前中」
「朝ってこと?」
「ん.まぁ、宜しくお願いします」
見上げる秋の空。
目を凝らすと、散りばめられた小さな星が光っている。
香り立ち、はらはらと散る銀色の花びらは幻?
狐の悪戯?
祠に座る小さな狐を思った。
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