うそうそ時

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コウさんを誘ったのは、川を挟んでスワハラの対岸を遡った辺りの山合にある保志乃合神社。 御祭神は宇迦之御魂神の極々小さな稲荷神社だが、三人の美しい神職者。流麗な御朱印の文字、心願成就と書いた栞のおまけ付き。星合詣と称して、女子が列をなすというのだ。 裏手の三角形の不思議な鳥居がパワースポット。日没1時間前には社務所を閉じてしまうので要注意。必ず三度、お参りするべし。 と昼休みに延々聞かされた。 御朱印巡りも何やら色々深い。 三角形の鳥居とは三柱鳥居というもので、余り目にすることのない珍しい形。 今迄、気にも留めなかったが、鳥居は神明と明神の大きく二つの体系、系統に分けられていて、更に建造物としても細かな分類がなされていることを知った。 「通り入る」との語源も確実な定説ではないらしい。 神域と現世を隔て、繋げるもの。 スワハラの大きな冠木門。 確かにくぐり、確かに声を聞いた。はず…。 越えてはいけない境界線。 最寄のバス停から徒歩15分。山道を20分。階段を147段。大体前後に女子が歩いているからわかるはず。という所だ。車なら30分余だろう。 コウさんの、ふぅん…とつまらなそうな顔が浮かんだ。
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