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「何、振り返ったりして」
「いやぁ、確かに余りに美人でつい。テンテンと何話てたんですか?」
「テンテン?」
「あの人、テン様というのだそうですよ」
「ん、三柱鳥居。初めて見た。真ん中に台座がある。すると、この鳥居はくぐるためではなく、何かを祀るための物なのかな?と思って…」
「そうですね。鳥居が向かい合って三角形に真ん中を囲んでる」
「探しているんだと。宝物。御朱印人気は大勢の方にお参り頂ければ、やがて宝物にも出会える日が来るやもしれませんって」
「へぇ…心願成就ってやつですかね。宝って金?御朱印1枚300円、100枚で3万。無休だとしと1ヶ月100万。御朱印だけで年間1200万。なんか、凄くないですか?」
「なんの計算?あ、それから、日没前に閉まり、日の出と共に開くらしい」
「そこ、気になります?営業時間」
「なる。夏は長く、冬は短い。朝と昼と夜…」
コウさんはそう呟いて鳥居に触れて、周りを一周すると、深い山の上を見上げてから歩き出した。
社務所の前の行列は数人になっていた。
「髪の長い方がハク様で、隣がアカリ様だって」
「アカリ、ハク、テンか…」
「様ですよ。御朱印は日に1枚で、三人に頂くと恋愛成就するらしいです。星合ってことで」
「なるほど。じゃ、シュウもあと2回お参りに来ないと。それとスワハラの狐払いに」
「憑いてませんから」
「そう?これから、一寸調べ物する」
「え?いいですけど…気持ち悪いの治りました?」
「ん、テンテンのお陰で」
コウさんは、そう言って笑った。
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