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三人が同時に鋭い瞳で俺達を見た。
コウさんは一礼すると、訝し気な様子に構わず歩み寄った。
「朝早くから不躾に申し訳ありません。どうしても見て頂きたくて…」
差し出した写真を持つハク様の手が僅かに震えて「アオ…」と呟いた気がした。
「これを何処で…」
そう尋ねたアカリ様の胸元には、巻物のような物が差してあった。
俺は震えが足元から駆け上がって来るのを必死に堪えていたが、コウさんは平然として、俺の肩に手を置いて言った。
「この子はこのシュウがスワハラで見つけました」
「スワハラとは、あの山城の」
「ええ。それで、貴方方が捜されている宝ではないかと思い当たりまして」
テンテンは、今にも泣きそうにして写真を撫でていたが、コウさんの言葉に顔を見合わせて頷いた。
「…仰る通りです。私達が長い間捜していたものです。今は…」
「ご覧の通り、前脚を大分痛めていますので、綺麗に直してお連れします。
少し時間を下さい」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
三人は深々と頭を下げた。
「シュウ、何か言うことがあるんじゃないか?」
「え?俺?あー、あの、俺に憑いてます?スワハラの何か、狐とか…」
「えっ?」
「シュウ、違う。御朱印の話」
「え?ああ、そっち?あの…テン様に書いて頂きたくて。それで、記事にも載せたいので、許可を頂きたくて…」
「お安いご用ですよ。それから、憑きものはないようですからご安心下さい」
俺がほぅっと息を吐くのを見て、四人は顔を見合わせて笑った。
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