うそうそ時

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それから暫くして、運ばれて来た子狐は、見違えるほどに美しくなっていた。 白く滑らかな肌に、頬の傷も消え、前脚を綺麗に揃えて座っていた。咥えた玉は透き通って輝いている。まるで以前からその姿だったように見えた。 そして、俺は帯付の札束を初めて見た。 コウさんは柔らかな布に子狐を包むと 「参りましょうか」 と言った。 俺にではなく、子狐に。 「え?今から?」 「ん、一日千秋、一刻も早く連れて行きたい。丁度いい時間じゃない?」 陽が傾き始めている。 秋の日は鶴瓶落とし。 何が丁度いい時間? 俺は、なんとなく無口になっていた。 「何?何か言いたいことある?」 「…別に…ないですけど…」 「けど?」 「…初めて見ました。帯付の札束」 「なんだ。そんなこと」 「金持ちはやることが違うなぁって」 「馬鹿か。水晶が高かったの」 コウさんはポケットからひびの入った玉を見せた。
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