薄氷(うすらい)の君

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君を例えるならば 早朝 誰にも知られずに張る 学校の裏庭の噴水池の端の 一枚の薄い氷であろう 鋭い眼差しと 何人をも近づけぬ 怖いくらいに透き通った 青ざめたバリアを持ち 池に近寄る者を冷笑する 薄い肩に舞い降りた粉雪を払う氷柱の指先と 絶対零度の白い肌は極寒の美 君を例えるのならば 正に 早朝 誰にも知られずに張る 学校の裏庭の噴水池の 一枚の薄い氷であろう そしてその氷は 正午になる前には 跡形もなく消えている もちろん 誰にも知られずに・・・ 気に儚き薄氷(うすらい)よ 儚げな容姿そのままに 君を例えるのならば 正に 薄氷
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