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探偵とスキャンダル ~5~
俺たちが最初に向かったのは五が丘在住の小説家、青砥湊《あおとそう》さんの自宅だった。彼は緑川さんの知り合いで、この街の大きな山の中腹にある自宅には、俺も以前探偵と来たことがある。
青砥さんは俺たちが到着するとすぐ中に入れてくれた。そして、探偵が事情を説明すると、彼は目を丸くした。
「記事は見たけれど、あれは嘘じゃないのかい?」
「真偽は分からなくて。今はとりあえず所長を探しているんです。どこにいるか、ご存じないですか?」
探偵は訊いたが、青砥さんは本当に何も知らないみたいで首を横に振った。
「力になれなくてごめんね」
青砥さんの何か分かったら連絡するね、という言葉を聞いて、俺たちは彼の家を出た。
「初っ端から有益情報なんて、そう都合良くはいかないわね」
探偵はそう言いながら、次の場所に向かった。
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