神様、お願い

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目を開けると、周囲を包み込んでいた光は消えていた。 目の前に見えるのは、賽銭箱と鈴を鳴らすようの麻縄。現実の世界に戻ってきた、と感覚で分かった。 そして自分自身の違いに気付いた。最初に神前に立った時と光に包まれた後と、体の重さが違うのだ。明らかに軽くなっているのだ。 そして、心も晴れやかだった。 愛してくれる人を渇望しなくても、自分で自分を愛してあげたら幸せなのではないかと思った。 「素敵な体験をさせて頂きました、ありがとうございます!」 改めて、深々とお辞儀をした。 足取りも軽やかになり、久しぶりに疲れが吹き飛んだような、そんな感覚があった。 感謝の念を心に抱きながら、神社を後にした。
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