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カナデさんみたいなイケメンに好かれる要素が何も思い浮かばない。よくみたらスラリとして背が高いな。180弱くらいありそう。やっぱ、ないわ。男にしか見えん。
「顎の骨とか、鎖骨とか、ちょっと尖った感じの骨が皮膚から浮いてるところがはかなくて、その、なんとなくめちゃくちゃにしたくなるっていうか」
その言葉に思わず後ずさる。
めちゃくちゃ? なんかいってること矛盾してないか?
急に拘束された手首が気になる。
「あぁ、だから無理にはしないってば。今も何もしてないでしょ?」
う〜ん、確かに?
「あの、ならこの手はほどいてください」
「あーえーと、嫌じゃない範囲でいろいろしたいです」
「……全部嫌です」
「でもキスは大丈夫だったでしょ? むしろ襲われた気がするし」
思い返すと反論ができない。
思い出してまた顔が赤くなる。
カナデさんが白い歯を見せてニヤニヤしてるのが腹立たしいけど目が離せない。
「ほら」
カナデさんの歯が俺の唇に近づいてくる。息を飲む。ドキドキして待っていると、唇から3センチくらいのところで止まる。
あれ? キスしないの? なんとなく、肩透かしを食らったような気持ち。
「キスしてほしかったら、自分からしないと?」
カナデさんのうっすら開いた唇から白い歯がのぞく。舐めたい。
でもなんか罠にハマってる気がする、ここは我慢だ、我慢。でも目を離すのは勿体ない、眼福。
カナデさんの息が鼻にかかる。あの歯の間を通ってきた息。
カナデさんの顔を見る。女の人みたいな奇麗な顔。歯をみる。素敵。顔。何かが自分の中で揺らいでる気がする。
うーんでも、我慢……しようと思ったらカナデさんは歯を大きく剥いて俺に見せつけたから、気がついたら思わずカナデさんの白い歯に舌を伸ばしていた。
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