夢の国ガンダーラ

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「いらっしゃいませー」 まただ。 またこの古びた田舎のネットカフェに、あの常連のお客さんがやってきた。 その常連のお客さんは、身なりはいかにもネットカフェ難民をしているような風貌で、古ぼけたパーカーに、ダボダボのチノパン、それに何年前に購入したかもさだかでないニット帽を身に着けている。 それだけならば、なんてことない。 なんてことのない、ただのネットカフェ難民にしか見えないのだが、その人の顔には今売出し中の若手芸人のような、ギラギラとした覇気が宿っていた。 彼が今までどう生きてきたかという境遇など、知ったことではないがその覇気だけは羨ましいと思う。 というのも、このアルバイトを受ける際の面接で店長に「君には覇気がないね、でもそれがうちとちょうどマッチしている」 そういった理由で、このアルバイトに採用されたほど僕には覇気がない。 そのお客さんの話に戻すと、他にも変わったところが一つある。 「このナイトコースお願いします。それとシャワールームの鍵も。 空いていたらでいいので」 ぼくのような年下の店員にも、きちんとした敬語を使ってくれるのである。 昔、店長がこんなこと言っていた。
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