04,起喜

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04,起喜

僕は父の絶望を酷く喜んでいた。 父の泣き顔は僕に心底からの幸福だった。 深く考えてみずとも、恨んでいる者が不幸になれば嬉しかろう。 つまり単純にそういう事だ。 誰かの死は誰かにとっては身を裂かれるように辛い。 しかし、誰かにとっては幸せともなるようだ。 辛い思いをしてる者や当人を恨んでいる人物がいたのなら、それは僕にとっての幸いになるだろう。 あまりに画然たる現状。 僕は一人の死から幸せのみを学び、得た。 それから変わった。 善悪を並べ、比較し、 シュレーディンガーの猫のようだったつまらない人生が変わった。 僕自身が変わった。 そして、今の僕となったんだ。 どんな時でもHappyUnBirthday! 「何でも無い日おめでとう」と高らかに言える程、 "何か"が"何か"を包んで変化させた。 眩すぎる光に目を閉じたまま生きるようになった。 盲目は闇も汚れも見ずに済むから。 もちろん幸せも見れないが。 その方が楽だった。自由になれた。 僕の幸せとはつまり、
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