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5 一緒に過ごす時間
翌朝
「パパがいる。」
理奈の声に目が覚めた。
昨日、慌てて買いに行ったTシャツとスウェットパンツで寝ていた理も理奈の声に目が覚めて、ここがどこか思い出したようだった。
「おはよう、理奈。」
「おはよう、パパ。」
メガネを外している寝ぼけ眼の理は、理奈に本当にそっくりだ。
「あずは、理奈をこども園送って会社へ行ってて、俺は一旦マンションで着替えてから出社するから。」
昨夜、色々、離れていた間にあったことを話した。
6年全てを埋めるのは無理でも、ちゃんと話せば伝わる。
私たちに必要なことは、些細なことでも話し合うことの積み重ねだねって言われた。
「パパ!お支度できたよ。」
「それじゃ、理奈。また土曜日な。」
「えー。理奈はパパとこども園行きたい。」
「パパは帰りいないから、ママと自転車で行かないと帰りは歩きになっちゃうよ。」
「理奈、歩くよ。」
「じゃあ送ってくよ。」
出かけようとしてチャイルドシートが、大輔さんの車に乗せっぱなしな事に気付いた。
理奈のチャイルドシートがなければだめだ。
「理奈を車に乗せるなら…」
「ジュニアシートならあるよ。
いつも拓哉を連れて出かけているから。」
「この前の男の子?」
「ああ。1月生まれだから理奈と同じ学年か。義姉さんが今つわり酷くて、兄貴が仕事で俺が忙しくない日によく預かっているんだ。」
「昨日は良かったの?」
「お袋が見てたと思う。敷地内別居してるから。」
アパートからすぐのコインパーキングまで、3人で手を繋いで歩く。
こんな日が来るとは思っていなかった。
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