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近くのコインパーキングに停めた理の車は意外なことにミニバンだった。
「宝田課長サマは、セダンとかおしゃれな車に乗っていると思っていたわ。」
「いまだにサークルメンバーとキャンプやBBQ行く時は運転手しているから、これでないと荷物も人も載らないだろう?」
「吉田先輩や歌音先輩は、元気?」
大学のサークルの先輩とは、何年も会っていない。懐かしいな。
「みんな元気だよ。今度、集まるときは一緒に行こう。」
「理奈もー」
「そうだな。みんな理奈の事可愛がってくれるよ、きっと。」
車だとあっという間にこども園に着いてしまった。
「理奈、いってらっしゃい。」
「パパ、いってらっしゃい!」
こども園の入口で、マンションに戻る理を見送り、2人で園舎に入ると、香苗先生がお迎えしてくれる。
「かなえせんせー。おはようございます。あのね。今日は理奈、パパの車で来たんだよ。」
「理奈ちゃん、大パパ、車変えたの?」
「違うの。理奈のパパなの。」
先生がこちらを見る。シングルマザーなのは知られているし、新しい彼氏をパパと呼ばせたと思われた?
「理奈の父親と会うようになったんです。そのうち同居する話も出ているので、ここから遠くなっちゃうから、どうしようかと悩んでるんですよ。」
「そうなんですか。理奈ちゃんが嬉しそうで、良かったですね。
6月の父親参観には、来ていただけると理奈ちゃん喜びますね。」
父親参観か…理は、参加できるかな。早目に言って仕事が入らないか確認しないといけないな。
そんなことを考えながら、電車で会社に向かった。
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