4082人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は週末、理と過ごすようになって、初めてのお休みの土曜日。
朝、起きてすぐに支度をした私たちを乗せた理の車は、中層マンションの地下駐車場へと入っていく。
「理は、一人暮らしなのよね?」
「家族タイプの3LDKに一人暮らしだから、理奈の部屋をすぐ作れるよ。」
「3LDKにひとりって…」
本当は、誰かと住む予定あった?
「俺のじゃなくて、元々兄貴たちが実家に住む前に買ったものだから。
俺の大学卒業の頃に実家の敷地内に家を建てる話が出て、兄貴と入れ替えで住み始めたんだ。
さてと、理奈。ここがパパのおうちだよ。一度、1階のコンシェルジュに挨拶してから行こうか。」
「こ、コンシェルジュ?」
「警備とサービス兼ねているから、俺がいなくても気楽に来れるように顔を覚えてもらうんだよ。」
駐車場から1階だけ上がり、エントランスから入ると黒いスーツの男性と女性がいた。
「友野さん、市川さん。」
「宝田様。お帰りなさいませ。」
「俺の妻と娘。これからここに来る事も増えるし、そのうち住む予定だから、よろしくね。」
細マッチョの男性が友野さん、女性が市川さんと言うらしい。
「あずみです。こっちは娘の理奈です。」
「宝田様、結婚されてたんですか?」
友野さんが突然現れた私たちにびっくりしている。
「事情があって、籍はまだ入れてないけど、理奈は間違いなく娘だって分かるだろう。」
「そうですね。拓哉君以上にそっくりです。」
友野さんが、思い切り頷くので、つい笑ってしまった。
「それじゃ、よろしく。」
「「はい。かしこまりました。」」
最初のコメントを投稿しよう!