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ファミリー向けのレストランのお子様ランチが理奈の希望だったので、入ろうとしたら理がここも宝田グループだと教えてくれた。
「宝田チーフ。お久しぶりです。」
店長の名札を付けた男性が駆け寄って来た。
「菊池、ここに配属になったんだな。」
「はい、4月から店長になりました。チーフ、今日はプライベートですか?」
「ああ。あず、菊池は俺がティンカーベルのチーフマネージャーやってた時の部下だったんだ。」
ペコリとお辞儀すると私と理奈を見てびっくりしている。
「チーフ、子どもいたんだ⁈」
「いたらおかしいか?」
「いえ、そんな事は…まぁこんなかわいい奥さんいるんじゃ、職場の女の子たちに見向きもしないはずですね。窓際の席にご案内いたします。ごゆっくりお過ごし下さい。」
理奈はお子様ランチ、私はカルボナーラ、理は悩んで日替わりを注文した。
「いた時に散々、色々食ったから何食べても変わんないと思っていたのに、あずと理奈がいるだけでこんなにうまいんだな。」
そんな事を言われると嬉しくなる。
「パパ、理奈のニンジンあげる!」
「理奈、嫌いなものをパパに押し付けちゃダメだよ。パパもニンジン苦手なんだから。」
「理奈、パパは食べられるようになったんだぞ。理奈もがんばろう。」
「理、食べられるようになったの?」
「食品業界にいて好き嫌いは言えないだろう。」
「試食したり、新作考えたりするものね。パパの真似して理奈も食べられるかな?」
「じゃあ、半分こ。」
理奈の作戦にかかって、半分食べてあげる理は、すっかりパパの顔をしていた。
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