5 一緒に過ごす時間

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「理、大丈夫…じゃないわよね。」  理の右頰には大きなもみじ、左には赤い丸が付いている。 「…効いたよ。血の味がする。 口の中、切ったかな。」 「ごめんなさい。母は、手加減してると思うんだけど…あの人、昔空手やって黒帯だったらしいのよ。」 「でも、これで結婚認めてもらえたから、いつでも理奈と一緒にこの家に遊びに来れるだろう。」  理が、今日殴られるために来たのが、そのためだとわかって、とても大切にしてくれている事が嬉しかった。  リビングに行くと理奈が理に近寄って来た。 「パパ、大丈夫?ほっぺが真っ赤っかだよ。」  大輔さんがすまなそうにこちらを見ているので、口パクで『大丈夫』と答えた。  お昼ご飯は、母が朝早くから準備してくれていたらしく、ご馳走が並んでいたが、理の前には豆腐と冷ましたたまご粥とゼリーが置かれた。  食事での嫌がらせ?と母を睨むと 「口の中、切れたでしょ?固いものは、まだ辛いはずだから、先に用意しておいたのよ。」 と笑顔で返されたので、何も言えない。  最初から殴るの前提で、支度していたの? 我が母ながら、困った人だ。
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