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「理、大丈夫…じゃないわよね。」
理の右頰には大きなもみじ、左には赤い丸が付いている。
「…効いたよ。血の味がする。
口の中、切ったかな。」
「ごめんなさい。母は、手加減してると思うんだけど…あの人、昔空手やって黒帯だったらしいのよ。」
「でも、これで結婚認めてもらえたから、いつでも理奈と一緒にこの家に遊びに来れるだろう。」
理が、今日殴られるために来たのが、そのためだとわかって、とても大切にしてくれている事が嬉しかった。
リビングに行くと理奈が理に近寄って来た。
「パパ、大丈夫?ほっぺが真っ赤っかだよ。」
大輔さんがすまなそうにこちらを見ているので、口パクで『大丈夫』と答えた。
お昼ご飯は、母が朝早くから準備してくれていたらしく、ご馳走が並んでいたが、理の前には豆腐と冷ましたたまご粥とゼリーが置かれた。
食事での嫌がらせ?と母を睨むと
「口の中、切れたでしょ?固いものは、まだ辛いはずだから、先に用意しておいたのよ。」
と笑顔で返されたので、何も言えない。
最初から殴るの前提で、支度していたの?
我が母ながら、困った人だ。
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