金色の弓

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それから私の猛練習が始まった。 音符を読む、記号を覚える、本当に基本からだった。私の学校の部活にも小学校から吹奏楽をしている人はいる。いや、殆どがしていた。皆この学校の吹奏楽に照準を合わせて来ている。私みたいに中学からなんていうのはほんの一握り…。でも、それが強い向かい風となり私に闘志を燃やさせた。 大きいコントラバスは持ち運びに苦労する。家で練習するにはお母さんに車で運んでもらわなければならない。その後、音が漏れない様に段ボールで窓を塞ぎ、毛布を当て又段ボールで押さえる。 時にはお母さんに運んでもらい、カラオケBOXで練習する時もある。 ある日、部活が終わり家に向かって歩いていたら華ちゃんが私を待っていた。 「あっ!華ちゃん!久しぶりぃ~」 私は華ちゃんに会えて嬉しくて駆け寄ったが華ちゃんは私を敵意丸出しの顔で睨んでいる。 「美憂…どうして?」 「えっ!何が?」 「何でバスケじゃなくて私と同じ吹奏楽?それもコントラバス?私の邪魔したいの?美憂には言ってたよね?私は音大に行ってプロの音楽家になりたいって…聞いたよ中学デビューのくせに凄いのが現れたって…美憂の事だよね?」 「えっ!待って!そんなつもりじゃないよ?」 「知ってるでしょ?音大付属の高校に入るのは各パートで一人の推薦枠しか無いって…」 「そうなの?」 「しらばっくれないで!もういい!美憂とは幼馴染みでもなんでもない!ただのライバル!これからはコンクール会場で会ってもお互い知らない同士!わかった?」 「華ちゃん…」私は何が何だかわからなくて…。黙って華ちゃんの背中を見送った。
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