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気が付くと薄暗い店の中にいた。洋画に出てくる古い本屋のような、あるいは昔の日本の駄菓子屋のようなといったら伝わるだろうか。三方の壁いっぱいに木で作られた引き出しや段ボール箱などがあり、そのいくつかは品物が入りきらずに半分開いたままになっている。
「調子はどう? あなたがのびてる間に、ねじは締めておいたんだけど」
はっとして左手を見ると、さっき道で取れた小指は元の場所についていた。痛みもないし、ちゃんと動く。
「ここは……」
ありがとうといえばいいのか、さっきのあれはなんだったのかといえばいいのか分からない。
「遺失物係だよ」
電車が通過するごおおおという音が頭上に響いた。どうやらどこかの線の高架下らしい。でも、ここが駅舎の一部だとは全く思えない。戸棚と戸棚の間から黒と白のぶち猫がにゅるりと出てきて、番台のように一段高くなったところに座っている、青年の膝におさまった。
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