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*血文字のプロローグ*
その時、柘榴の実の中で眠る男は妄想の中で血の滴る事件の予兆を感じたが、能力者とはいえその映像を見る事は叶わず、これより始まるのは地下室での男女の奇妙な会話からであった。
「デジタルの呪い」
「こんなので、死んだりするの?」
皮膚のアップに四角い傷の枠線が描かれ、血のドットで文字が少しずつ確実に刻まれてゆく。
=IF(痣が凶だったら、数字のナイフで切り刻まれて死ぬ。)
実際は液晶モニターに映し出された肌感であり、いやに生々しく枠線とIFの関数が書かれて完成すると、枠が赤い傷線になって裂け始め、鮮血がじわじわと滲み出て呪いの滴が垂れる。
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