*血文字のプロローグ*

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 奥側のアクリルカバーの蓋を開けて内部を覗くと、数本の骨組みがピアノの鍵盤のように連なってピンで固定され、銅線コイルで接続されて通電している。 「まーな、二十年近く研究を重ねた。最初は猫と犬の骨で作ったけど全然ダメでさ。能力者の肋骨を組み合わせてやっと上手く呪えるようになったわけ」 「凄い発明だよ。これで呪えるなんて、霊力のハイテクだわ」  そして男が背中を向けてパソコンの前に座り、血と肉とあばら骨のキーボードに両手の指を置き、呪いの表に名前と=IF関数と呪文をタイピングして呪いの試運転を始めた。  それを覗き込む男と女の笑顔がうっすらとモニターに映り込む……。  この奇妙な血と肉とあばら骨のキーボードを使用して、二人の呪術師の戦いが始まり、数字のナイフで肉を刻まれる死者が続出する。そんな忌まわしい、古来からの呪いが現代の田舎町と都会で甦るのだ。
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