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第十一現象・血霊の対決
警察署の会議に参加した圭介は安堂刑事から指名されて決定的な提案をした。『警視総監を呪えるのか?』質問されたが、その疑問こそが人々の心に呪いが巣食い始めている証拠だ。
「もう、呪いについて考えるべきではない。不安と恐怖が呪力をアップさせている」
デスクに署長と副署長が並び、刑事部の幹部が長机の席に着き、全警察官が室内と通路まで集まって圭介の発言に耳を傾けている。
「人質を取られて脅迫されていると単純に考えれば、早急に対応すべきだと思います。それに警察が町を出ても戦い方はあるし、自分一人になってもキズオを倒してみせますよ」
それで署長も決断し、警察は町を離れて峠の国道に本部を設けて待機し、県警から派遣された優秀な警察官を数名町に忍ばせて安堂刑事の指示で動く事になった。
「俺は一旦町を出るが、すぐに戻って来る。少しは警察を頼りにして、連絡は欠かすなよ」
「いや、安堂さんは捜査から外れて、温泉でも入って休養すべきだ」
腕の裾を捲って刻まれた痣を見た圭介が、呪いと言う言葉を使わずにそう忠告した。
「大丈夫だ。心配すんな。それよりキズオへの返答を頼む」
「わかりました」
圭介はそれで宇佐美に電話してキズオへのメッセージを頼んだが、美加が外出した事を聞いてすぐに美加にかけ直した。
「何処にいる?」
「ビョーイン……」
「美加。俺もそっちへ向かう」
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