素敵な落としもの

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冬の寒い寒い朝のことです。 昨夜降り出した初雪は朝までに止み、 冬の太陽がゆっくりと昇り始めるころ。 公園を囲むように幾つか建っているアパートメントに新聞配達員のクリスが通りかかりました。 その手には新聞と、ついさっき路地裏で拾ったばかりの赤色の三角帽子。 とんがり部分に白いボンボンのついたそれは、夕べどこかの酔っ払いサンタが被っていたものでしょう。 昨夜はクリスマス。 家族でレストランでお祝いする人たちもいれば、 若者たちは仲間同士、パーティーと称して町のあちこちの酒場を行ったり来たり。 そんな大層な行事の翌朝ですから、町にはたくさんの忘れ物。 いえ、落とし物なのか、ゴミなのか。 本当に色んなものが落ちていました。
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