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新聞配達の道すがらまだ寝ぼけ眼のクリスの前に落ちていた、
白い雪の中で一際ポッと浮かびあがっていた赤い帽子。
その色のキレイさに思わず拾ってしまったけれど、今夜はもうクリスマスではありません。
さて、どうしよう、家に持ち帰り来年のために洗濯でもしておこうか、と。
ふと公園に目を向けた時です。
雪が積もった公園のベンチ、そこに座っている何かが目に入りました。
「やあ、おはよう! 寒いけど気持ちのいい朝だね」
近づいたクリスが声をかけた相手は雪だるま。
白い頭に白い身体、腕には枝が刺さり黒い石の目を持った雪だるまがベンチに座っていたのです。
夕べ、誰かが作ってここに置いたのでしょうか。
ちょっとデコボコした不格好な雪だるまを眺めていたクリスはいいことを思い付きました。
「そうだ、これは君にピッタリかもしれないね」
と、先ほど拾ったあのサンタ帽子を雪だるまにかぶせてみると。
心なしか雪だるまが笑っているようにも見えました。
「わしよりも君にお似合いだ、一日遅いけれどメリークリスマス!」
手を振りクリスは立ち去りました。
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