素敵な落としもの

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「そうだ、君にいいものをあげるよ」 アントニーがポケットから取り出したのは、夕べパーティで誰かが鳴らしたクラッカーの中身。 くしゃくしゃになった色とりどりの紙テープ。 「オマエ、なんでそんなもの拾ったんだよ」 「なんかキレイだったから、つい」 へへっと照れくさそうに笑ったアントニーが三角帽子の脇にその紙テープを挟んでいくと。 「髪じゃん」 ブハハッとニックが噴き出しました。 そうして、何かないかと自分もポケットをまさぐって。 「そういえば、オレもいいもん拾ったんだぜ」 その手の中にはやはり夕べ誰かがポンッと飛ばしたシャンパンのコルク蓋。 ニヤリと笑って、それをググッと雪だるまの顔の真ん中に押し込むと。 「鼻だな」 「うん、鼻だ」 二人は愉快になって雪だるまを挟んで記念写真。 「遅れたけどメリークリスマス、我が友よ」 雪だるまにとも、自分にとも取れるニックの言葉に。 アントニーは、雪だるまの枝の手と握手を交わしながら。 「また会おう、友よ! きっとこれから夜までグッスリだ。君は良い一日をどうぞ」 ニックにとも雪だるまにとも取れるようにお別れの言葉を告げて。 二人は顔を見合わせて笑い合い、アパートメントへと消えて行きました。
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