第10話 邂逅 三

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第10話 邂逅 三

 むくり---と身体を起こすと、陽はかなり高いところに昇っていた。  狭い窟の入口から射し込む陽の眩しさに眼を擦りながら、弁慶はあたりを見回した。  ―あれは、いったい------―   夢か---とも思ったが、裸の腰に申し訳程度に掛けられた薄衣が、それが現(うつつ)のことであると示していた。  昨夜、五条の橋の上で出逢った稚児の異様なまでに美しい姿が目に浮かぶ。  かの者は弁慶の薙刀を軽々と避けただけでなく、遂には剛力の自分に膝を折らせた。  そればかりではなく------   ―ふふっ.....―  と小さな笑みを漏らして、かの者は弁慶の股間の雄に形の良い唇を押し当て、そして、ゆっくりと舌を這わせた。 ―逞しいのう---もう猛っておるわ―  小ぶりな口の中に先端を含み、巧みに吸い上げる。 ―う......―  屹立したそれを強く弱く、締め付けて扱きあげる。暖かく湿った柔らかな粘膜に包まれ、敏感な部分を撫ぞりあげる巧妙な口淫に、弁慶は幾ばくもなく、精を放つ。  うっとりと味わうように飲み下す細い喉を呆然と見つめる弁慶に、金色の瞳が妖艶に微笑んだ。 ―横になれ―  弁慶が言われるままに仰臥すると、かの者は、する---と衣を肌から落とし、ゆるりと弁慶の腰に跨がった。顕になった白すぎるほどに白い肌。練り絹のようにしっとりと艶を帯びて、触れた手に吸い付くようだった。  しなやかな指が、弁慶の凶器の如き反り返り屹立した雄茎を、己が蜜壺に導く様は、如何にも優雅で、かつ淫猥だった。  滑らかな平らな胸の二つの突起はほんのりと薄紅に色づき、まだ下萌えも殆ど無い股間には弁慶のそれとは似ても似つかぬ小ぶりな淡色の若茎が、ふるふると緩く勃ち上がっていた。   ―あ......あぁ......大きい.....―  口淫の間に自ら解していたのであろう。かの者は、ゆっくりと赤黒く長大な弁慶の雄を己のが秘奥に迎え入れる。並みの男よりもふたまわり、三まわり程も大きい体躯に比例して、弁慶のそれは並々ならぬ威容を誇っていた。かの者の蜜壺が、それを深呼吸とともに受け入れ、柔肉に包み込んだ。  そして、ゆらゆらと揺らぐように小さな腰を振りたてて、弁慶の雄を秘奥へと誘い、締め付ける。 ―あ......いぃ...。固ぃ...あっ...あぁっ...―  細い喘ぎと甘やかな吐息がかの者の反った喉から溢れ、零れ落ちる。弁慶は、その熱く柔らかな肉襞に絡め取られ、扱きたてられて、はや理性を遠くに押し退けて獣と化していた。 ―おぉ.....お....―  何時しか、弁慶はかの者の細い腰を鷲掴み、激しく突き上げていた。 ―あぁっ.....あひっ......良い.....あぅ.....あぁっ....もっと....もっと奥......に......―  何時しか身を捩り、身悶えるかの者を押し倒し、掻き抱いていた。乞われるままに、秘奥に己のが雄を突き入れ、柔肉を抉り掻き立てる。  かの者は、幾度も白濁を吐き散らし、腰をくねらせて昇りつめながら、弁慶の首を掻き抱いて何やら呟き続けた。 ―あ......ぁ、出して......内に...沢山.....お前を...見せて......― ―出す.......ぞ。良いな......―  そして、弁慶がその秘奥に精を放ち、己のが熱をしたたかに注ぎ込むと、背中をいっぱいに仰け反らせ、大きく身体を震わせ、果てた。  肩で大きな息をしながら、時折、身体を痙攣させているかの者を胸元に抱き寄せ、口づける。金色の瞳を潤ませて、かの者は弁慶の耳許で囁いた。 ―我らと共に参れ---― ―どこへ?― ―お前の魂の根源へ---―  そして、柔らかな肌を脈動する胸にひたと押し付けた。 ―我れは、そなたが気に入った---―  苦笑しつつ、秀でた額に口づけて---そして深い眠りに落ちた。    香を焚き染めた薄衣を手に取り、立ち上がる。かさり---と小さな音がした。裾のあたりから小さな書き付けがほとりと落ちた。 『弓張に、参る』  弁慶の胸が、とくん---と疼いた。      
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