シャレオツ動物診療所

3/3
前へ
/11ページ
次へ
一瞬にして凍りつく待合室の空気‥。 険しい視線が一斉に、辰Gに注がれる。 ヒソヒソ話のワードの中に「ユウカイ」って確かに 誰か言ったし聴こえたしー。 「‥えっっワシなんか疑われてる?ち、違いますし ー、神様に誓いますだ。昨日、そこの川の河原にヒ、1人?い、1匹で居たんでさぁ。そっからワシに 懐いて付いて来ちまったんでさぁー。 不憫だからワシんちに一晩泊めてこれから、 交番へ知らせに行く矢先に怪我しちまったんでさぁ。おねげえだ信じてくだせぇ〜。」 再び、ざわつく待合室‥。 すると、辰Gのピンチに助け舟を出してくれたのは、この人↓ 「獣医の立場から言わせてもらうけどこの人、 嘘は言ってないと思うよ。とにかくこのコが 雨宮さんに懐いてるのは間違いないからね‥今から、ご本人に聴いてみるのが早いんじゃない? キミって実はそのウワサのチロリーヌなんだ?」 『ファンっ!』 『このおじさんはキミの命の恩人なんだ?」 『ウウ〜ッファンファン』 「キミがセレブ生活にウンザリし、自由を求めた 気持ち俺には解る気がするよ。でもキミはこれから、元の家に戻ってちゃんとケジメだけはつけなきゃ いけない‥、ちゃんと自分の気持ちを伝えるんだ、 分かった?」 『ファンファーンッ!せんせー好きっチロリーヌ、 タグヤせんせーのファンファンッ』 その潔さにタクヤ先生は、初美改めチロリーヌの 肩を励ますように、抱き締めた‥。 『じゃあ行くわアタクシ。辰G、引き続きボディガードお願いね!』 皆にお辞儀をしながらチロリーヌの後に付いて出て行こうとする辰Gを タグヤ先生がそっと呼び止めた。 「ちょ待ってよ‥チロリーヌのことはオタクに任せた‥それと‥その前にさぁ初診料と治療費、 払ってってくれる?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加