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一瞬にして凍りつく待合室の空気‥。
険しい視線が一斉に、辰Gに注がれる。
ヒソヒソ話のワードの中に「ユウカイ」って確かに
誰か言ったし聴こえたしー。
「‥えっっワシなんか疑われてる?ち、違いますし
ー、神様に誓いますだ。昨日、そこの川の河原にヒ、1人?い、1匹で居たんでさぁ。そっからワシに
懐いて付いて来ちまったんでさぁー。
不憫だからワシんちに一晩泊めてこれから、
交番へ知らせに行く矢先に怪我しちまったんでさぁ。おねげえだ信じてくだせぇ〜。」
再び、ざわつく待合室‥。
すると、辰Gのピンチに助け舟を出してくれたのは、この人↓
「獣医の立場から言わせてもらうけどこの人、
嘘は言ってないと思うよ。とにかくこのコが
雨宮さんに懐いてるのは間違いないからね‥今から、ご本人に聴いてみるのが早いんじゃない?
キミって実はそのウワサのチロリーヌなんだ?」
『ファンっ!』
『このおじさんはキミの命の恩人なんだ?」
『ウウ〜ッファンファン』
「キミがセレブ生活にウンザリし、自由を求めた
気持ち俺には解る気がするよ。でもキミはこれから、元の家に戻ってちゃんとケジメだけはつけなきゃ
いけない‥、ちゃんと自分の気持ちを伝えるんだ、
分かった?」
『ファンファーンッ!せんせー好きっチロリーヌ、
タグヤせんせーのファンファンッ』
その潔さにタクヤ先生は、初美改めチロリーヌの
肩を励ますように、抱き締めた‥。
『じゃあ行くわアタクシ。辰G、引き続きボディガードお願いね!』
皆にお辞儀をしながらチロリーヌの後に付いて出て行こうとする辰Gを
タグヤ先生がそっと呼び止めた。
「ちょ待ってよ‥チロリーヌのことはオタクに任せた‥それと‥その前にさぁ初診料と治療費、
払ってってくれる?」
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