ドクセンヨク

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「あ、柚希!」 柚希はどうやら道場の奥の方で窓の鍵閉めチェックをしてたみたい。柚希、空手部の主将だもんね。 まだ道着姿の柚希はペタペタと裸足でこっちにやってきた。 「ごめん。着替えてねぇ。」 「大丈夫!今日は早く終わったの?」 「ああ。…顧問が用事だって。」 こういいながら、ぐっと伸びをする柚希。 じ、実はちょっと柚希のご機嫌大丈夫かしら…って思ってたんだよね。ほら、菊池が絡むと柚希ってブスッとすること多いしっ… でも、大丈夫そう? 「柚希、今から着替えるの?」 「そだけど。」 「え!じゃあ更衣室の中見てみたい!」 「は?」 柚希、半笑い。 だって!!普段見れないところって見てみたくない!!? さっきまで「柚希サンのご機嫌どうでしょうか…」モードだったくせに、もう立ち直ってるわたし。 柚希は少し首を傾げた。 「別にフツーだって。男子更衣室入って何すんの?変態さん。」 「入らないってば!!見るだけだもん!!!」 勝手に入ることにするんじゃないやいっ!!即座に否定するわたしを見て、柚希はフッと一笑。 そして、「いーよ。」と言うと更衣室に向かって歩き始めた。 「ちょ、ちょっ、待って!」 やっぱあれかな??臭いのかな??だって空手部っていかにも「男!!」って感じだし、その更衣室でしょ?? ちょっぴりワクワクしながらついていくと、柚希は簡単に扉を開いてくれた。 「ほら、好きなだけ見ていーよ、変態。」 「さっきから変態変態うるさい!」 わたしは断じて変態ではない! さっき柚希に「中に入らない」って宣言してるから、間違っても更衣室の敷居は跨がないようにしながら、わたしは中をぐるりと見渡した。 「あら?意外にキレイだね?」 「お前どんな状態想像してたの。」 柚希はこう言って苦笑い。 いやもっとこう、混沌とした…うねる様な男臭がするというか…。とにかく、こんなに物が少なくて、きちんと整理整頓されてる状態は想像してなかった!(失礼) わたしが目をパチクリさせてると、柚希はサラリと白状した。 「ま、俺が主将になったとき、ここ大掃除したんだけど。すげーカオスだったから。」 「やっぱりそうだったんじゃんっ。」 なるほどねー、掃除したのか!
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