隣人はあの有名アイドル!?

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なんだこれは……写真……? 俺は、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。 「千晃さん…?」 後ろから声がした。この爽やかな声は皇逸喜だ。 ・ ・ そして、冒頭に至る。 「あの…これ……」 「もしかして、みました?」 「…ごめん、そんなつもりなくて…」 沈黙という冷たい空間が続く。先に口を開いたのは、皇逸喜だった。 「俺、千晃さんのことが好きなんです」 「え?」 急に何を言い出すかと思えば…… 「だからもっと千晃さんのことが知りたくて。けどどうしても千晃さんと話せる機会がなかったんです。でも千晃さんのことは大好きだからずっと見ていたいんです。だって好きなんですもん」 開き直ってるのかこの男……恥じらうことなく言葉を発する目の前のアイドルに俺はもうたじろぐことしか出来なかった。 「だから1枚写真を撮ったんです。そしたらハマっちゃって、それからこんな風に……千晃さんがいけないんですよ」 「な、なんだよそれ…」 「急にすみません。でも好きなんです。貴方に危害を及ぼすつもりなんてないです。でも、この写真とかはやめられなくて。俺の生活の一部なんです、趣味なんです」 「は、はぁ…」 「でも、その、写真だけじゃ物足りなくて。つい調べて隣の部屋に…」 「え、まじ?」 「はい」 平然とそう応える人気アイドルにそろそろ恐怖を覚えそうだ。犯罪ではないのか? 「千晃さん、これから末永くよろしくお願いします」 そう爽やか笑顔を向けられると断りずらくなるが、冷静に考える。 「なぁ、もしかして俺のストーカーってお前か?大通りに行くとやめるやつ」 「はい、気づいてたんですね」 まじかよ……もう潔い。 「もう、写真撮るのやめてくれねぇか?怖いんだわ」 「嫌です」 「はぁ!?」 まさかこんな即答されるとは…それもこんな真剣な顔で。 「俺の生きがいなんです!」 「やめろよ気持ち悪い…」 久々にドン引いた俺だった。これがイケメンじゃなかったらフライパンで殴ってるところ。 「でも、怖がらせたのはごめんなさい」 「まぁ別に、やめてくれるなら」 「…やめなきゃだめですか」 「は?」 さっきからやめろと言っているのに、この男はどうも頑固だ。皇逸喜とは、こんな人間なんだろうか。 「じゃあ、堂々写真撮ってもいいですか?なら、盗撮するのは…やめます」 「いやいや嫌だろ、他にしろ」 「1日お泊まり?」 「却下だ」 「手繋ぎデート?」 いくら皇逸喜でもストーカーしてた人間と一緒に手を繋いだりお泊まりしたいと思うものか? 「じゃあ、遊園地デート。そしたら、盗撮はもう絶対しませんから」 手繋ぎデートも遊園地デートも一緒と思ったが、あまりにも皇が可哀想に見えたので、俺は頷いた。 「言ったな、お前」 「え」 「遊園地デートしたら、もう絶対に盗撮するなよ?」 相手がこの皇じゃなければ、警察いってただろうな、俺。
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