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「遊園地デート、してくれるんですか?」
「したらやめてくれるんだろ?」
「…まぁ、約束しちゃいましたし、やりません」
「よし、じゃあ空いてる日程教えて」
「今週末なら!」
目を輝かせながらこちらをみる皇の眩しさに俺は目を薄めながら頷いた。
「時間とかは任せるから」
「任せてください、最高のデートプラン考えますんで」
「お、おう」
この究極の顔面国宝にこのセリフだが、なんだかかっこいいとは思えない。だってこのイケメン、一応はストーカーなのだから。
「千晃さん」
固まっていた俺の体を皇は急に抱きしめようとしてきた。優しい、甘い声で呟いて。
「っ!?」
反射的に、俺は彼の体を突き放した。そんな俺の手は震えている。
「どういうつもりだよ」
おかしいだろ。会話が繋がらない。どうしてその行動になった?
「ご、ごめんなさい…」
「俺が喜ぶと思ってたのか」
「違うんです、ほんと、ごめんなさい」
意味がわからない。怖い。何を考えているんだ、この目の前の男は。
「…好きなんですよ」
「はい…?」
予想外のセリフに耳を疑う。皇は頬を赤らめながら俺を真っ直ぐ見つめた。
「どんな顔も、好きなんです。だって、今まで遠くから見ていた千晃さんが、こんな近くで見れるなんて、抑えてる方が無理がある。好きなんです、ほんと、好きなんです」
理解できない言語がつらつらと述べられていく。俺の頭の中はぐるぐると回り始める。最終的に、皇は目に涙を溜めていた。
「好きなんです…」
そして涙を拭いながら呟いた。
「好きで、ごめんなさい……」
大人である自分が、高校生を泣かせているなんて、みっともない。こういう状況になった時、たとえ相手がストーカーであろうと、やることはひとつ。
「謝ることなんてない、だから泣かないでくれ」
俺は多分、このストーカーを突き放すことは出来ない。
「千晃さぁん……」
多分、数日したら恋も冷めるだろう。それまで、少し付き合うか。
俺はそんなことを思いながら、皇の頭を撫でた。
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