それ、頭のネジだよ

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ゴトン。 軽い金属を落としたような音が体育館の中に反響する。 「誰かスマホ落としたよ」 バスケットボールを床についてドリブルをするキョウタと、スポドリを飲んで休憩しているイクオにスマホの画面に視線を落としながら声をかける。 「俺じゃねーよ」 キョウタが一旦ドリブルをやめてボールを床に置き、ジーパンの尻ポケットを撫でながら答えた。 「スキありっ」 「おい!」 「油断してンのが悪いんだよ!」 その間にイクオが床からバスケットボールを拾い、ゴール下までドリブルをしてレイアップシュートを決めた。 「へへっこれで4−4、次決めた方が勝ちだな」 「イクオじゃないの?」 「俺スマホステージの上だし」 なるほど確かに、イクオのスマホはスポドリとキョウタの財布と一緒に俺から見て左手側に置かれている。 じゃああれは何の音なんだ? 「痛てっ!」 キョウタが何かを踏んづけてすっとんきょうな声を上げる。キョウタが右足を上げると内履きの下には親指ぐらいのサイズのが落ちていた。 「さっきまでこんなのあったか?」 「いいから早く試合シよーぜ」 「おう」 そう言ってキョウタは足元のそれを試合の邪魔にならないように俺の座っているステージの方へ蹴り飛ばした。 『そんなに雑に扱わないほうがいいと思うけどね〜?』 突然、スピーカーから幼い少年のような声が鳴り響いた。その声に驚いてキョウタとイクオは思わず試合を中断する。 「いたずらっこカナ?捕まえちゃおーっと」 確かに管理人さんの声ではなかった。 けどこの体育館には俺達以外誰もいないし、俺達が来てからは誰も来ていないはずだ。 イクオがキョウタを引き連れてステージ脇の放送室に入るドアを引き、中を見て驚く。
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