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レギアスの背を見つめて私は胸が押し潰されそうになり、涙が湧き上がってきた。
だ、ダメ……ここで泣いては絶対にダメ!!
レギアスはただ私を大事にしてくれているだけなの、離れたいなんて思っていないのよ。
私は自分に必死に言い聞かせたけれど、体が震えて喉はカラカラになり、その場から動けなくなってしまった。
先程の会議での会話は私にはかなりつらい内容だった。そのせいで気持ちが弱くなっているのだ。
……このままではダメだ。持ち直さなくては。
私は必死に自分を叱咤しソファに座るレギアスの元へ足を向けた。
足が自分のものとは思えないくらい重くて、酷く時間がかかった気がする。
レギアスの前まで行くと、声が震えないように細心の注意を払いながら口を開いた。
「レギアス……レギアスは、私のそばにいるのが嫌になったわけでは……ないのでしょう?」
「レティシア? 当たり前だよ。ただ俺は、もしレティシアに八つ当たりなんかしてしまったら、自分が許せない……」
レギアスは俯いていた顔を上げると慌てて立ち上がって言う。
「いいよ、八つ当たりしても。どんなに怒ってても、酷くしてもいいの。でも私から少しでも離れていくのはイヤ……」
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