献花

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 国葬初日の朝、私は念入りに支度を整えていた。  侍女たちが忙しく動き回り、私はただ立っているだけなのだが。  昨日はレギアスにさんざん抱かれ過ぎてマティアス殿下とのディナーも上の空で過ごしてしまった。おかげでレギアスは一転してご機嫌になったけれど。  殿下に不審に思われなかったかしら……  たしか、マティアス殿下と竜騎士たちは国葬のあいだこの国に残って空から警護をしてくれるとのことだった。  何かあればすぐに飛んできてもらえるし、二国間の同盟が強調できるからありがたい。  ディナーの後には皇主直属の暗部が20人ほど挨拶に来ていて、部屋に帰ると揃って跪き待ちかまえていたからびっくりしてしまった。  レギアスは当然のように気づいていたみたいだけど、私は意識的に気配を探らなければ全然わからない。  彼らは私や両親の護衛が主だった仕事らしく、両親の護衛担当だった者たちは死んで詫びるというから止めるのが大変だった。  驚いたのは侍女長のハンナが暗部だったこと。  お爺様の命令で私が生まれた時からずっとそばで守りながら色々と暗躍してくれていたらしい。  皇帝のことがあってからはアンネローゼも侍女に追加して穴を無くしたのだとか。  そして見えないところにも常に数人潜んでいるとのこと。まあ予想はしていたけれど。
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