お風呂で……

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「ま、待って、自分でするから」  2人きりで浴室に入ると勝手に私を洗い出すレギアス。 「大丈夫。昨日も一昨日も寝てるレティシアを洗ったの俺だよ?」 「じ、侍女がやったんじゃないの?」 「手入れ以外は全部俺」 「うん、もう血は出てないね」  そう言うと中も外も洗われてしまった……  恥ずかしさにプルプルしているあいだに自分を洗い終わったレギアスに抱き上げられて一緒にお湯に浸かった。 「ここは風呂に入り放題でいいな」 「ソーマは違うの?」 「火山ばかりだけど温泉は少ししかないんだよ。はげ山ばかりで水不足なんだ。この国から水を輸入してるくらいだしね。俺を酷使して雨を降らせたりさ。この風呂と同じくらいの大きさの王族用の浴場はあるけど、王族も人数が多いから……」  ソーマの王は強い跡取りを残すために側室を何人も置いて子供をたくさん作るとか、そういえば聞いたことがある。 「じゃあもしかして庶民はお風呂に入れないの?」 「たぶん家では入れないね。風呂屋はあるから、金持ちは毎日通ってるかも。各家庭に風呂が設置されてて好きに入れるなんてこの国だけだと思うよ」 「そうなの? 家にお風呂が無いなんてちょっと想像がつかないわ」 「もし風呂のないところに旅に行く時は俺が魔術で作ってあげるから安心して」 「ふふっ、ありがとう」 「あー、話をして気を逸らしてたけどこのままだとお湯を汚しそう。風呂でするのもいいけど2回しかないからちゃんとベッドまで我慢するんだ俺」 「お風呂で……」
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