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気を紛らわせるために考えていたらサラの声で現実に戻された。
「いや、いい……」
「じゃあ僕はここで書類を読んでいるから君は好きに出ていっていいよ」
「レティシアと離れて出ていくわけないだろ。おい、そこの、サラディールの側仕えのお前、隣の部屋から未読の魔術書を取ってきてくれ。侍女に聞けばわかるから」
「取ってきてやれ」
「はっ」
サラディールに言われて側仕えが部屋から出ていった。
そういえば側仕えがいなくてもハンナでこと足りると思ってたけど、やっぱり誰かいないと不便だな。暗部にもピンとくるやつはいないし、あいつを呼んでやるか。
兄貴は国葬のあいだの警備を請け負ってるし、手続きさせるためにあとで呼び出そう。
それにしても、レティシアにはせめて着替えるかガウンでも羽織ってから来てほしかった。透け透けじゃないからまだいいけど、こんな胸の開いた可愛らしい夜着1枚で……
「おい、なにかレティシアに掛けるものくれ!」
「ああ、すまない。気が利かなかったね」
とか言いながら残念そうにするなサラディール!
名残惜しそうにレティシアを見て顔を赤くするな!!
「お前、大神官のくせになにレティシアを見て欲情してるんだ? そんな色欲まみれでいいのかよ」
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