皇女とドラゴンに乗った誘拐犯

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「あ、あの……た、助けて下さったこと、感謝いたします。あの、わたくしは……」 「名前は!?」 「え?」  なんだか必死な感じで聞かれた。  名乗れと言っているの? 今名乗ろうと思ったのだけど……でも、身分を知られればそれだけ危険が増える。  やめたほうがいいかしら……  この人、どう見ても邪悪そうだし…… 「名前を教えてくれ! 俺はレギアス」  レギアス、聞いたことがあるような……  こ、こんなに見つめられたら黙るとか嘘をつくとか怖くてできない。  皇女の名前と気づかれませんように。 「わたくしは……レティシアと申します」 「レティシア……レティシアか」 0e612c4b-840e-45e3-b224-d95d53d211ee  噛み締めるようにつぶやくと、レギアスは心底嬉しそうに笑った。  な、なんなの? この破壊力のある笑顔は。さっきまでの表情と全然違うじゃない!  やだ、ドキドキする…… 「あの……わたくしを仲間の元へ戻していただきたいのですが……お礼はいたしますので」  すると、突然レギアスの雰囲気が不穏なものに変わり…… 「ダメだ」  キスされた。  突然顔が近づいてきて気づいたら唇が触れていた。  え!? な、なぜ??  長い睫毛に囲まれた銀の瞳が妖しく光りながら私を見つめている。  押し付けられた唇が離れていき…… 「お前はもう俺のものだ」  また唇を塞がれた。  こ、今度はし、舌が動いてる!  や、そんな唇を舐めないで……
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