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「あ、あの……た、助けて下さったこと、感謝いたします。あの、わたくしは……」
「名前は!?」
「え?」
なんだか必死な感じで聞かれた。
名乗れと言っているの? 今名乗ろうと思ったのだけど……でも、身分を知られればそれだけ危険が増える。
やめたほうがいいかしら……
この人、どう見ても邪悪そうだし……
「名前を教えてくれ! 俺はレギアス」
レギアス、聞いたことがあるような……
こ、こんなに見つめられたら黙るとか嘘をつくとか怖くてできない。
皇女の名前と気づかれませんように。
「わたくしは……レティシアと申します」
「レティシア……レティシアか」
噛み締めるようにつぶやくと、レギアスは心底嬉しそうに笑った。
な、なんなの? この破壊力のある笑顔は。さっきまでの表情と全然違うじゃない!
やだ、ドキドキする……
「あの……わたくしを仲間の元へ戻していただきたいのですが……お礼はいたしますので」
すると、突然レギアスの雰囲気が不穏なものに変わり……
「ダメだ」
キスされた。
突然顔が近づいてきて気づいたら唇が触れていた。
え!? な、なぜ??
長い睫毛に囲まれた銀の瞳が妖しく光りながら私を見つめている。
押し付けられた唇が離れていき……
「お前はもう俺のものだ」
また唇を塞がれた。
こ、今度はし、舌が動いてる!
や、そんな唇を舐めないで……
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