蒼い恋慕

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2月 朝は遅く夕暮れが長い 17時を過ぎても外は明るい。 ああ、春は近いんだと思っても、朝いつもの時間に目覚め、明るい空を期待して窓を開けると外はまだ真っ暗だ。 きっともうすぐ外はピンク色。 街がピンクに染まるころ、何かが変わるのだろうか。 それとも、2月の朝に感じる期待外れを私はこれからもずっと抱き続けるのだろうか。 マフラーでぐるぐる巻きになった私。 目の下まですっぽり覆う。 そして あなたの事を遠くから見る。 あなたは私に気づいていない。 楽しそうに仲間と談笑している。 気付けばあなたを目で追っている。 私はここにいる。 でもあなたは私に気づかない。 ふぅっとため息を吐く。 無駄な時間だ。 私は背を向けた。 私ばかり好きでばかみたい。 どうして出会ったんだろう。 出会わなければ、こんな想いはしなくて良かった。 こんな気持ちに出会う事も無かった。 もし、出会いを必然というならば、彼と出会った理由はなんだろうか。 理由のない出会いが、あるのだろうか。 袖触れ合うも他生の縁とは、本当なのだろうか? 叶わない想いは無駄ではないか。 時間の浪費。 そもそも出会いは必要なのか? 私には不必要なことだ。 手を伸ばしてもあなたには届かない。 触れたいのに届かない手。 腕も髪も。 あなたは遠い。 余計なこと。 恋なんていらない。
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