蒼い恋慕

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今年は冷夏。 過ごしやすい。 太平洋に面したこの場所の初秋はどんな風が吹くのだろうか。 室内に入ると佐伯さんがいた。 隣に座るのも何なので、左側の一つ挟んだ椅子に腰を掛けてみる。 彼女はせっせと黒板に書かれた文字をノートに書いていた。 どんな字だろう。せっせと文字を書く姿が可愛らしい。 「こんにちは。」 「こんにちは。」 彼女の表情は硬かった。そりゃそうだ。邪魔をしてはいけない。 「この前はありがとうございます。」 佐伯さんが林君と作業をしてくれたおかげでこちらはずいぶん助かったので。 それを伝えたかったが、珍しく空気を読まなかった。 彼女の邪魔をしてはいけないので、席を立つ。 せっせと文字を書き写す姿が脳裏に過る。 頑張れ。
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