蒼い恋慕

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ドザッ。 大きな音がたつと視界が一気に明るくなった。 目に染みる明るさ。 外を見ると大きな満月が窓の外にぽっかりと浮かんでいた。 少し眠る、だけだったが、しっかり眠ってしまったようだ。 顔から落ちた専門書をそのままに、布団を半分に畳む。 飯でも食うか。いや、食う気にならん。 もう一度窓の外を見る。 濃い黄色の大きな丸い月。満月か。 この力強く明るい満月はまるで佐伯さんのようだ。 鼻を赤くした姿、友達と楽しそうに笑い合う姿、懸命にノートを取る姿。 様々な姿が思い浮かぶ。 不思議な子だ。 そして自分はまるで佐伯さんの衛星のようだ。 取り敢えず、銭湯に行ってさっぱりしよう。
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