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翌日も、佐伯は登校して挨拶を交わすとすぐに図書室へ向かった。
昨日も、休み時間の度に図書室へ向かっていた。
今朝は少し目を腫らしていた。
「どうしたの~?」
佐伯を正面から抱きしめて聞いてみる。
「うつ伏せで寝たのかなぁ。」
佐伯はニコニコしながら応えて「じゃ、行ってくる。」とまた右手を軽く挙げて図書室へ行ってしまった。
佐伯の後ろ姿をまた7人で見つめながら板倉が口を開いた。
「かっちゃん情報によるとね。」
豊田さんは現在二県隣に住んでいるらしい。
それでもここから電車で1時間強。近い。片道千円もかからない場所だ。
彼女はいないそう。
そして、板谷の見立てでは豊田さんは佐伯の事が好きではないか、との事。
その理由は、佐伯の横を歩くときに息を止めている事だった。
はじめは、女性が怖いのだろうか・・・と気にしていたが、豊田さんの仕事は女性嫌いに務まる仕事ではない。
ニコニコと楽しく誰とでも会話をしているし。・・・
しばらく豊田さんを観察していたら、豊田さんの視線の先には佐伯がいた。
佐伯と豊田さんがすれ違う瞬間を特に凝視してみると、明らかに佐伯を意識しすぎて息を止めているのではないか、という考えに行きついた。
佐伯を意識しすぎて溝に嵌まっていたのだろうか・・・。
くっくっく。と笑いがこぼれる。
板谷は豊田さんの為に何かできないかと悩んだが、そもそも佐伯は男性嫌いだし、板倉に相談してみて一蹴されることも怖かったと話してくれた。
「私・・・かっちゃんに佐伯が豊田さんの事を好きだと言っちゃった!」
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