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10月
空の色は茜色、黄金色、そして群青色
時間と共に変わる空の色。
この空の色を胸いっぱいまで吸い込む。
咽喉を抜け胃で収める。
それからじんわり私のお腹を温める。
私、発光しないかなあ・・。
キラキラと輝き、身も心も綺麗になりたい。
綺麗になって・・・
それからどうする?
買い出しを終え戻ると何かに見られているような気がした。
視線だろうか?
誰だろう?
振り向くと、背の高いあなたと目が合った。
5メートルほど離れた場所で、
ぎゅっ
・・・ぎゅっ?
胸の奥で音が鳴ったような気がした。
あなたは何かものを言いたげな切ない表情をみせたあと、私から目線を外した。
・・・何?うるさかったのかな?
うるさかった?
いや・・そんなにはしゃいではいないよね?
・・・違う。
私は小さく首を振った。
いや、私を見ていたことは、気のせいだ。
私も仲間にはわからないように何かを探すふりをしながら、
そっとあなたから視線を外した。
まるで最初からあなたの事を見ていなかったかのように。
まるで最初からあなたのことは意識していなかったかのように。
それからずっとあなたの事を見ないように意識していた。
視線を感じる事ももうなかった。
友達と笑う。
気が紛れた気がする。
誰にも見られていないよね?
微笑むと上下の歯がガチガチ震えた。
ちょっと自意識過剰になってしまっている。
なんだろうね。
外を出ると金色も茜色も無くなって、群青色の空と、漆黒の闇が広がっていた。
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