蒼い恋慕

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11月 冷たい空気 朝一に窓を開け空気を入れ替える。 新鮮な空気を身体に取り込む。 ひんやりした空気を吸い込み 「ふう~っ」と息を吐く。 今日も素敵な一日でありますように。 カサ。カサ。落ち葉を踏みしめながら公園を歩く。 木々の葉は落ち、茶色に変色した葉っぱがあたりに広がっている。 カサ。カサ。 八人で公園を散歩。 夕焼け空の下、カサカサと気の置けない友人たちと歩く。 私は遠くからみんなの写真を撮るため、少し離れて歩き出した。 その時、ふと何故かあなたが私の隣にいるような気がした。 あなたはいないのに、あなたの気配を感じた。 あなたと手をつないでいるような、気がした。 あなたが私の右側を歩き、ニコニコと私を見つめている。 ふと右上を見てみたが、あるのは薄浅葱色の空だけだった。 それでもあなたがいる、そんな気がした。 ばかみたいな勘違い。幻。 何がそうさせたのか。 2人で話すと楽しいのに 誰かが私たちのそばにいると、私にはそっけなくなる気がする。 ばかみたいな勘違い。 どうしてそんな勘違いをするんだろう。 東の空には大きな満月。 まだ登り始めた満月はぽっかりと大きい。 でも黄色くて力強い。 綺麗だ・・・。 私は、そんな月をあなたと一緒に見たいと思った。 否定も肯定も無く、ただ、一緒に見たいと思った。 冷たい空気。 少し冷えた鼻をすすった。
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